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■イチローとゴジラと怪物とハンカチ王子■
野球をあまり知らない人でもこれらの人がだれかは、ご存知でしょう。皆、野球選手です。イチローは、いうまでもなくプロ野球オリックスからアメリカメジャーリーグ「マリナーズ」へ移籍し様々な記録を塗り替えるスーパースター、ゴジラは、プロ野球巨人から同じくアメリカメジャーリーグ「ヤンキース」の4番打者に移籍した松井秀喜の愛称。怪物は、同じく西武から「レッドソックス」へ移籍した松坂大輔の愛称。この3人は、いまやスポーツニュースを連日賑わすメジャーリーグの代表的な選手です。ハンカチ王子は、昨年の夏の甲子園で一気に人気者になった早稲田実業高校の投手斉藤佑樹選手の愛称です。1球ごとにハンカチで汗を拭く姿で有名になり、日本の女性の間でヨン様(韓国俳優ペ・ヨン・ジュ)に劣らないフィーバー現象を起こしました。

■4人の共通項は何でしょう?■
私も実はあまり野球には、興味がないのですが、この4人がどのような人物かくらいの知識はあります。たぶん、日本中で知らないという人を探すほうが大変でしょう。それでは、この4人に共通することは何でしょう。ハンカチ王子以外は、アメリカメジャーリーグで活躍しています。ハンカチ王子は、
そのルックスの方が有名になりましたが、実力が伴っているのはだれもが認めています。将来、大物になりそうな予感です。しかし、この4人に共通するのは、いまのところ有名野球選手というくらいでしょうか?


■夕食を家族で一緒に食べるということ■

最近見た新聞記事で、斉藤佑樹選手の母親が、夕食は父親が会社から帰ってから一緒に食べるということに、人一倍気を使ったというようなことが書いてありました。父親の帰宅が遅くなりそうな時は、先に佑樹に宿題をやらせて父親が帰ってから一緒に食卓を囲んだと言います。食卓では、「今日学校でどんなことがあったの?」などと子供(佑樹)になるべく言わせていたといいます。
その記事をみて、以前、早朝のラジオ番組で、スポーツライターの女性がイチローと松井秀喜と松坂大輔の共通項は、子供のころ毎日、親と夕食を一緒に食べていたということだと、言っていたことを思い出しました。どの家庭にも食卓を家族で囲み、いっぱいのおしゃべりがあったと言っていました。そのような子供が、必ず将来スター野球選手になるというわけではありませんが、なぜか家族で夕食を一緒に食べるという共通項があった、というわけです。

 

■食卓の風景〜松坂大輔の場合■

▼松坂大輔の父は、北海道から高校卒業してから、また母は青森から中学卒業と同時に、東京の下町(江東区)へ集団就職のような形で働きに出る。父は、小さな運送会社へつとめ、母はそこの事務員だった。2人が結婚して、長男大輔、次男恭平が産まれる。父の勤める運送会社は、勤務時間帯を選択できたため、早番勤務を希望し、毎日午後3時半には家にいられるようにしたという。保育園の迎えも父と母が交代で行った。帰宅すると、父と子は暗くなるまで外で遊んだ。キャッチボールの日もあればサッカー、相撲、テニス、時にはちょっと遠出して釣りと、父と子の時間は濃厚に重ねられていった。松坂家の夕食の風景は、いつも4人で構成されていた。4人で食卓を囲む風景は、大輔が横浜高校に入学し寮生活を始めるまで続く。しかし、家族全員が毎日食卓に顔を揃えるというのは、簡単なようでなかなか出来るものではない。ほとんどの家庭は、父親不在の場合が多い。しかし、大輔の父は、午後3時半には自宅へ戻るという判で押したような生活を選んだ。「お酒を飲めないということもあるけど、同僚と付き合うより、子供たちと遊んでいたほうが楽しかったのかもしれません」と父。

■食卓の風景〜イチローの場合■

▼イチローの父は、愛知県豊山町で小さな部品工場を経営していた。下請け企業の経営者は、お客様の要望に合わせて無理な仕事も引き受け、夜おそくまで働くというのが定番かも知れない。しかし、イチローの父は、午後3時半のイチローの下校時には、待ってましたとばかりにキャッチャーミット、ホームベース板、球が70個入ったスーツケースを持ち、工場から300m離れた町営グランドに出かける。そこで、毎日父子の野球遊びが始まる。暗くなると、家に帰り宿題を一緒に済ませ、夕食を家族で摂り、夜9時からは車で10分ほどの「バッティングセンター」へ通う。小学校3年から小学校6年までは毎日この繰り返し。中学へ行ってからは、野球部の部活があったので町営グランドへ通うことはできなくなったが、父は3時半になると仕事を切り上げ、中学校に通い、グランドの外からイチローの練習を欠かさず見ていた。イチローと一緒に家に帰り、宿題と夕食を家族で過ごし、やはり9時からはバッティングセンターへ毎日通う。中学3年間、この繰り返し。愛工大名電高で寮生活になるまで、この繰り返しだった。
イチローは、偏食が強く、母は苦労した。嫌いなおかずがテーブルに載ると、ご飯に箸もつけようとしなかった。ほとほと困った父は、食べないよりは良いと、イチローの好物であるタイやヒラメを買いに食事中でも走った。父の小遣いの大半は、イチローのおかず代に消えた。

■毎日の繰り返し■

「夕食は家族で一緒に」なんて、ひと昔前まではあたりまえでした。しかし、最近では核家族化が進み、父も母も共働きで仕事が忙しく、子供は塾やゲーム遊びが忙しくといった感じで、なかなか一緒におしゃべりしながらというのが少なくなりました。食卓にのるおかずも母の手料理というよりは、スーパーの総菜パック、または電子レンジでチンというものが多くなり、子供の食事中もメールや携帯に大忙しといった親も少なくありません。「お茶の間」や「ちゃぶ台」といった言葉が死語になっているとの話もあります。
世の中の動きも激しく、流れに取り残されないようにといつも必死に生きているのに、この松坂親子やイチロー親子のように時間がとまったような単調な毎日の繰り返しができるというのは、不思議な世界です。だからこそ、天才スポーツ選手がうまれるのかも知れませんが・・・。

■濃密なコミュニケーション■

またこの4人に限らす、名をなしたスポーツ選手、スピードスケートの清水宏保、テニスの杉山愛、ゴルフの丸山茂樹、サッカーの川口能活なども家族で夕食を囲んでいたそうです。またこれらの人たちには、思春期にありがちな反抗期がなかったそうです。食卓を囲みながら、おしゃべりし子供のちょっとした変化も見逃さず、一人前の大人として子供を扱うという親の愛情が反抗の機会をうばったとも言えます。これらは、濃密なコミュニケーションのなせるわざです。イチローの父などは、毎日寝る前にイチローの足の裏を手で1時間もんでやっていたそうです。些細な親子喧嘩でイチローが口もきいてくれないときに、足の裏をさすったことで暗黙のうちに和解できたことがあり、それから高校に入るまでの7年間、1日も欠かすことがなかったというから驚きです。
今回の通信は、最近読んだ本からビジネスのヒントを探したのですが、内容がおもしろいので無理なこじつけはやめておきましょう。う〜ん、でも、ヒントになります。

 

 2007年5月25日現在  (有)ペーパー・シャワーズ 代表取締役 村松昭文

文中引用・参考文献・「天才は親がつくる」吉井妙子著 文春文庫
・「夢を見ない男 松坂大輔」吉井妙子著 新潮社